マブイとは
マブイとは沖縄の方言で、
【意味】魂のこと。
【解説】驚いたり、ショックなことが起きた瞬間、マブイ(魂)が体内から離れると考えられており、抜け落ちたマブイを体内に込める事をマブイグミ(魂込め)といいます。マブイは落としたら早めに取り戻さなければ病気や不運が続くと言われており、先送りにしない事が肝心です。落とした場所でマブイグミを行います。
のことを指します。
また、沖縄では小さい子供がびっくりしたり、けがをしたり事故にあったりすると良く「マブイを落としてないか?」と心配されたり言われたりします。
マブイを落とすと、
- ボーっとして生気がない
- 微熱が下がらない
- 食欲がなくなる
- 不眠になる
- いつもイライラして人が変わったように感じる
- 倦怠感・脱力感
- やる気が出ない
- 思考がまとまらない
- 何も考えられない
- 眠い
と言った症状が出て、そうなると沖縄の人は「まぶやー、まぶやー」と言って、手で落ちた物を拾い、落ちた魂 (マブイ)を再び体に込めるような動作をして落とした魂(マブイ)を取り戻すというおまじないをしていたのが語源のルーツだと言われています。
また、マブイグミというマブイを取り戻す儀式があったりと沖縄ではそういった儀式や体験談が数多く語り継がれています。
事の始まりは祖父が電話に出ない事から
私の母方の祖父は、子どもが大きくなって自立してから(母と母の姉)離婚して、それぞれ再婚しています。そして、祖父は大阪に再婚相手と住んでいます。再婚相手と言っても私が小さい頃には既に再婚していたので、私には全く違和感がなく「おばあちゃんが多い」というだけの認識です(笑)呼び方は混乱するので「おばさん」と呼んでいますが。
可愛がってくれたし、遊びに行ったり泊に言ったりもしていたのですが、最近になって母が「パパ(ここでは祖父)と連絡が取れない、電話してもおばさんが取り次いでくれない」と言うのです。
おばさん曰く、「ボケが入ってしまって入退院を繰り返してる、電話で話すのは難しい」とのこと。それでも、一言話したい母は電話で食い下がったようなのですがのらりくらりと交わされて切られてしまう。と、いう状態が続いていました。
母もとうとうしびれを切らして、妹の子どもと私の次女もまだ一度も祖父に顔を見せに行っていないので会いに行こう!と母、父、私の家族、妹家族で会いに行こうと計画を立てたのが始まりでした。
直前まで会えるかどうか不明…
大阪のおばさんに電話をして「会いに行く」と伝えたものの、「その日はデイサービスがあるから…」「そんな大勢では困る…」と歯切れの悪い回答ばかりでした。
そんなおばさんに母は「何かやましいことがあるんだ!パパ(祖父)がボケるなんてありえない!!」とかなり息巻いて怒りをあらわにしていました。
自分の父親と話が出来ない、そし痴呆扱いされている、会うことをやんわり拒否されている、という事で母もかなり頭に血が上っているようでしたが、そこか落ち着かせて冷静に会いに行こうと話し合ってから会いに行くことにしました。
あぁ、マブイが落ちてしまっている…
そして、当日近くまでいって電話をしたら「家にいるよ」との返答があったので祖父の家に会いに行きました。そこにいた祖父は、白髪が増えたものの普通に歩き、返答していて痴呆を感じさせるものは全くありませんでした。
普通は、という注釈付きですが。
私は、祖父の目を見て話した時に「あぁ、マブイを落としてしまっている人の目だ」とはっきり感じました。目の中に光や温かみと言った感情がなく、機械的にロボットのように返答しているだけにしか感じませんでした。
元々、喜怒哀楽が大きいわけでもなくオーバーリアクションでもなく、どちらかというと穏やかで淡々と話す祖父ではありましたが、感情が揺れ動く感じや温かさはしっかりと幼少期から感じていました。
それがない…氷のように冷たいというより無機質のような感じで、別世界からお話をしているような大きな違和感を私自身は感じました。
また、エネルギーオーラがほとんどない。消えかけの炎のようにチラチラと視えるものの、全体のカラーの確認は出来ず、そして今にも消えそうな弱いものでした。
そう感じた瞬間に頭の中に、
おじいちゃんはマブイを落としてしまっている!
という単語が頭の中に駆け巡りました。痴呆でも、ボケているでもなく「マブイを落としてしまっている」とはっきりと言葉が下りてきたのです。
さりげなく、おばさんと二人で話をしてみた
その後、来客用のお茶を用意しているおばさんを手伝う為に、さりげなく台所へ行って手伝いをしつつ話を聞き出してみました。
ポツポツと話してくれた内容としては、
- まだ正式に痴呆認定はされてない
- 夜中にトイレに何度も起きて眠れない
- 自身も病気があるからお世話をしきれない
ということでした。
見た目は全く分からないだろうし、恐らく痴呆であっても初期の初期の段階であろう状態なので少し話しただけでは分からないと思います。
でもはっきりと私は違和感を感じたので、祖父が以前とは変わってしまったということだけがはっきりと読み取れて純粋に悲しくなりました。
しかし、母はそんなことは分からないので上機嫌で祖父に話しかけてたので異変には気付かなかったのでしょう。もしくは、実の娘だからそういった事は信じたくない、と蓋をして接しているからかもしれません。妹も特に違和感は感じていない様でした。
身体はここにあって普通に話しているけど肝心のその人の芯のようなもの、個人を司るものがない…と私ははっきりと感じたのです。
帰路での会話
帰路でも母は上機嫌で「やっぱり普通だった、おばさんが大袈裟に言っていただけなんだ!」と息巻いていましたが、私は「あぁ、そうだね…」と曖昧に返事をするだけにしておきました。
望んでいない事実を突きつける事、そして医者でもない私がそういった発言を不用意にすること、そして母をむやみやたらに不安にさせること…どれも不適切だとジャッジしたからです。
そのまま、何も言わずに今日まで来ています。
まとめ
自分の胸の中にしまっておこう、と決めたもののとても悲しい気持ちとやり切れない気持ちでいっぱいになってここで吐き出しました。
実際に何でもないで終わって欲しい、私の感じたことが間違いであって欲しいという気持ちと、やるせなさと、切なさでごちゃ混ぜになっています。まだまだ気持ちの整理は出来ていません。
ただ、私の感じたことを事実の記録としてここに記しておこうと思います。時が来るまで、そっと胸にしまっておこうと決めた体験談でした。
追記 2020年2月22日、祖父は他界致しました。